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遺言書とは?見つけたらどうする?

スタッフブログ

2024.05.10

こんにちは。北斗司法書士事務所の新人スタッフMです。
もし家族が遺言書を残していた場合、どのように対応したら良いかご存知ですか?遺言書には主に3つの種類があり、その種類によって対応が変わります。今回は、遺言書の役割と種類、家族が遺言書を残していた場合の対処法をわかりやすく解説していきます。

遺言書とは?その役割

遺言書とは、亡くなった人が生前に「自分の財産を誰にどのように遺すか」という意思を示した書類です。「ゆいごんしょ」または「いごんしょ」と読みます。

誰にどのような割合で財産を遺すかどうかは、まず亡くなった人の意思が尊重されます。そのため、遺言書が残されていた場合には、まず遺言書に従って遺産分割を進めます。遺言書は、法定相続人以外にも財産を譲ることができるほか、相続人同士が遺産を巡るトラブルを回避できるメリットもあります。また、遺産分割にまつわる話し合いや手続きなど、遺族の負担を軽減することもできます。

遺言書の有無は、その後の相続手続きに大きな影響を与えます。
そのため、相続が開始した場合には、まずは亡くなった人が遺言書を残していたかどうかを調べることが重要です。

遺言書の種類は主に3つ!

遺言書は一般的に、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類に分けられます。これらを「普通方式遺言」といいます。

普通方式遺言の他には「特別方式遺言」という形式があり、死が目前に迫っている場合の「危急時遺言」や、疫病や服役などで一般社会と隔離されている場合の「隔絶地遺言」などがあります。

ここでは、通常時に使用される普通方式遺言について紹介していきます。

①自筆証書遺言:遺言者本人がすべて自筆で作成する

自筆証書遺言とは、本人がすべてを手書きで作成する遺言書です。パソコンや代筆などで作成した遺言書は認められず、日付や本文、署名などすべてを自筆で書く必要があります。紙とペンと印鑑があれば、今すぐにでも作成することができます。財産内容が複雑であったり所有する不動産の数が多いなどといった場合には、遺言書の別紙として財産目録(すべての相続財産を記載したリスト)を添付できます。財産目録は、パソコンでの作成が認められています。

◆メリット
・手軽に作成できる
・費用負担が少ない
・遺言書の存在と内容を誰にも知られない

◆デメリット
・形式の不備で無効になりやすい
・第三者による偽造、改ざんや隠蔽の恐れがある
・相続人に発見されない可能性がある
・検認が必要(法務局保管の場合は不要)

※令和2年7月より、法務局が遺言書の原本を保管してくれる「遺言書保管制度」が始まりました。この制度によって、遺言書の紛失や隠匿などを防止できるのみならず、遺言書を発見してもらいやすくなりました。

②公正証書遺言:公証人が遺言内容を聴き取って作成する

公正証書遺言とは、公証人が遺言者から遺言の内容を聴き取って作成する遺言書です。公証人が関与する遺言書なので、遺言内容が明確で証拠力が非常に高いことが特徴です。遺言書の原本は公証役場で保管されるため、紛失や隠蔽の恐れもありません。公正証書遺言を作成するときは、公証人のほかに証人2人の立ち合いが必要です。

◆メリット
・公証人が作成するため、形式の不備で無効になりにくい
・手が不自由でも作成できる
・公証役場で原本を保管するため、紛失や隠蔽のリスクがない
・検認が不要

◆デメリット
・費用がかかる
・公証人等に遺言の内容が知られてしまう
・証人2人が必要

③秘密証書遺言:作成した遺言書に封をして提出し、公証人に存在を証明してもらう

秘密証書遺言とは、遺言の存在自体は明らかにしておきながら、遺言内容は秘密にできる遺言書です。作成した遺言書本体に封をして公証人へ提出するため、公証人による内容確認は行われません。秘密証書遺言を作成するときは、公証人のほかに証人2人の立ち合いが必要です。公証役場での手続き後は、遺言書原本を遺言者自身で保管します。ただし、自筆証書遺言と公正証書遺言に比べて、秘密証書遺言はほとんど利用されることはありません。

◆メリット
・遺言書の内容を秘密にしたまま、遺言書の存在を証明できる
・パソコンや代筆でも作成できる

◆デメリット
・形式の不備で無効になりやすい
・第三者による偽造、改ざんや隠蔽の恐れがある
・相続人に発見されない可能性がある
・証人2人が必要
・検認が必要

遺言書を見つけても勝手に開封しない

家族が亡くなった後、遺言書を発見した場合は、勝手に封を開けてはいけません。家庭裁判所での「検認」という手続きを経た上で、家庭裁判所の担当者が開封する必要があります。この検認の手続きを経ていない場合には、5万円以下の過料に処される可能性があります。

遺言書の「検認」とは、家庭裁判所で遺言書の内容を確認する手続きのことです。遺言書の偽造・変造を防止したり、相続人に対し遺言の存在・内容を知らせたりするための制度です。ただし、全ての遺言書において検認の手続きが必要かというと、そうではありません。

◆検認が必要な遺言書
・自筆証書遺言(法務局保管制度を利用していない場合)
・秘密証書遺言
※公正証書遺言は原本が公証役場で保管されているため、検認を受ける必要はありません。

検認手続きにおいては、家庭裁判所から相続人全員に出頭を求める通知がなされ、相続人、裁判官立ち会いのもとで遺言書が開封されます。検認が完了した後、遺言の内容に従い相続手続きが進められます。ちなみに、検認では遺言書が法的に有効かどうかの判断はされません。もし相続人が遺言書の有効性を争いたければ、別の裁判をしなければなりません。

◆遺言書を見つけた時の対応の流れ(公正証書遺言を除く)
1. 遺言書は開封せずに安全な場所に保管する
2. 他の相続人に遺言書の発見を通知する
3. 家庭裁判所に連絡し、「検認」手続きを申し立てを行う
4. 家庭裁判所の指示に従い必要書類を提出する
5. 検認実施、検認済証明証の取得
6. 遺言の内容に沿って相続手続き等を進める(原則)

遺言書には必ず従わないとダメ?

原則として、遺言書は亡くなった方の最後の意思表示であるため、遺言書がある場合は遺言書通りに相続を行います。しかし、遺言書の内容に納得がいかなかった場合、遺言書通りに相続をしなくても罰則はありません。下記のような場合は、遺産分割協議により誰が何を相続するのかを決定することができます。

◆遺言書があっても従わなくても良い場合
・遺言書自体が無効
・相続人などの関係者全員が合意した
・遺留分を相続できなくなる内容であった

まとめ

今回は、遺言書の種類とその対処法についてご紹介しました。もし家族が遺言書を残していたらどのように対応すればよいか、お分かりいただけたでしょうか?

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という主に3つの種類があります。種類によって、遺言書を見つけた時の対処法が変わってきますが、公正証書遺言以外は家庭裁判所における検認が必要ですので、勝手に開封しないように注意してください。家庭裁判所への検認の申し立て手続き等は、司法書士にお任せすると安心です。

相続において、遺言書の有無はその後の手続きに大きく関わります。もし家族が亡くなったら、まずは遺言書が残されているかどうかを確認しましょう。

鹿児島での相続手続きは、北斗司法書士事務所にお任せください!
最後までお読みいただきありがとうございました。

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