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士業とは?8士業・10士業の一覧、仕事内容について解説

スタッフブログ

2024.03.19

こんにちは。北斗司法書士事務所の新人スタッフMです。
皆さんは、司法書士や弁護士などの職業が”士業”と呼ばれているのをご存知ですか?士業とは、法律に基づいた専門資格の取得が必要な職業の総称です。また、士業の中でも大きく分けて8士業・10士業というカテゴリーに分類されるものがあります。具体的に士業にはどのような種類があるのでしょうか?今回は、8士業・10士業の一覧とその仕事内容について、わかりやすく解説していきます。

士業とは?

「士業(しぎょう)」とは、法律に基づいた専門資格の取得が必要な職業の総称で、司法書士や弁護士のように名前の末尾に「〇〇士」と付くのが特徴です。「士」は「侍(さむらい)」という意味を持つ言葉であり、かつての日本では基礎教育を受けて資格を取得している侍が大勢いたことから「サムライ業」とも呼ばれ、「士」の漢字が使われたとされています。

士業の業務には、特定の知識や技術を有すると認められた有資格者しか行えない"独占業務”があり、無資格者がこれを行うことは禁止されています。また、士業の分類に明確な定義はないものの、士業の中でも一般的に、8士業、10士業と呼ばれている職業があります。それぞれにはどんな職業が含まれるのか、そしてどんな仕事内容・役割なのかをみていきたいと思います。

8士業とは?その種類と仕事内容

士業と呼ばれる職業は多数ありますが、その中でも代表的なものが「8士業」と呼ばれる士業です。8士業とは、職務上必要な場合に戸籍や住民票などの個人情報を依頼者に代わって請求することができる権限が認められている士業のことを言います。

具体的には、以下の8つの職業です。※順不同

・司法書士
・弁護士
・税理士
・弁理士
・行政書士
・土地家屋調査士
・社会保険労務士
・海事代理士

ここからは、それぞれの仕事内容をご紹介します。

司法書士

司法書士は法務省所管の国家資格であり、法律に関連する手続きの代行や書類作成を行う専門家です。裁判所・検察庁・法務局へ提出する書類作成や、不動産登記をはじめとする登記業務、簡易裁判所における140万円以下の訴訟代理などを行います。司法書士は、法的な手続きを専門的に行い、人々の財産と権利を守ることが使命です。

司法書士になるためには、司法書士試験に合格し、司法書士名簿に登録、司法書士会に入会する必要があります。司法書士試験に受験資格はなく誰でも受験することが可能です。

司法書士が胸につけているバッジには、五三桐(ごさんのきり)がデザインされています。五三桐とは、3枚の桐の葉の上に、中央に5つ、左右に3つずつ(3-5-3)の桐の花が配置されているデザインです。五三桐は権威性や国家・国民の繁栄を象徴しており、法務省の紋章にも使用されています。

弁護士

弁護士バッジ
弁護士は法務省所管の国家資格であり、法律に関する専門的な知識を用いて依頼者の問題解決を行う専門家です。私たちの身の回りで起こる争いに関する民事事件や警察が介入し刑法上の犯罪が対象となる刑事事件において、弁護や交渉、訴訟活動、法律事務全般などを行います。弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とします。

弁護士になるためには、司法試験に合格し、1年間の司法修習を修了してから、日本弁護士連合会の弁護士名簿に登録される必要があります。司法試験には受験資格があり、司法試験予備試験に合格、または法科大学院を修了しなければ司法試験を受験することはできません。

弁護士が胸につけているバッジには、外側にひまわり、中央にはかりがデザインされています。ひまわりは自由と正義を、はかりは公正と平等を追い求めることを表しています。

税理士

税理士は国税庁所管の国家資格であり、税務に関する専門家です。納税者に代わって確定申告や相続税申告等に関する税務書類の作成や申告、税務調査の立会等の税務代理業務、税金や節税等に関する相談に応じて税務上のリスクを軽減するサポートなどを行います。納税者が自身の所得を計算し、納税額を算出する申告納税制度の推進の役割を担います。税理士は、公平な税負担により住みやすい豊かな暮らしを守る社会的使命を果たす存在です。

税理士になるためには、税理士試験に合格し、税理士名簿への登録が必要です。税理士試験では、「学識」「職歴」「資格」などの受験資格が設けられており、受験するにはいずれかに該当する必要があります。

税理士が胸につけているバッジには、二重の円の中に日本の国花である「桜」がデザインされています。外側を縁どる円は、日本の『日』を示し、日を追って限りなく進行(隆昌)することを意味しています。

行政書士

行政書士は総務省所管の国家資格であり、行政手続きの専門家です。官公署に提出する許認可等の申請書類作成・提出手続きの代理や、権利義務や事実証明に関する書類の作成などを行います。行政書士の役割は、正確かつ迅速に書類を作成し、国民の権利と利益を守ることです。また、提出された書類が明瞭に記載されていることにより、効率的な行政処理が確保される公共的利益もあります。

行政書士になるには、行政書士試験に合格し、行政書士名簿に登録、行政書士会に入会する必要があります。行政書士試験に受験資格はなく、誰でも受験することができます。

行政書士が胸につけるバッジには、外側に「秋桜(コスモス)の花弁が10枚」、中央に篆書体(てんしょたい)で「行」の文字がデザインされています。これは調和と真心を表しています。

弁理士

弁理士バッジ
弁理士は特許庁所管の国家資格であり、知的財産に関する専門家です。依頼者に代わって特許や意匠など知的財産権に関する書類の作成や特許庁への申請・登録の代理手続き、知的財産権への侵害対策や模倣対策等の相談業務、知的財産に関する訴訟問題の代理などを行います。知的財産を権利化したり、知的財産をめぐる紛争を解決したりすることで、発明者の利益を保護します。

弁理士になるためには、弁理士試験に合格し、弁理士登録を行う必要があります。弁理士試験に受験資格はなく、誰でも弁理士試験を受験することが可能です。

弁理士が胸につけるバッジには、外側に「16弁の菊花」、中央に「五三桐」がデザインされています。菊花は正義を、桐は国家の繁栄を表しています。

土地家屋調査士

土地家屋調査士は法務省所管の国家資格であり、土地や家屋を調査する専門家です。不動産の表示に関する登記について必要な土地家屋の調査・測量を行ったり、登記の申請手続きや審査請求の手続きの代理などを行います。不動産取引や土地利用において必要な情報や評価を提供する役割を果たしており、正確な情報と信頼性が確保されることで、不動産市場の円滑な運営と安全な土地利用が実現されます。

土地家屋調査士になるには、土地家屋調査士試験に合格し、土地家屋調査士名簿に登録、土地家屋調査士会に入会する必要があります。土地家屋調査士試験には受験資格がなく誰でも受験することが可能です。

土地家屋調査士が胸につけるバッジには、外側に「五三の桐」、中央に「測」の文字がデザインされています。

※バッジのデザインは下記URLにあるロゴマークをご覧ください。

社会保険労務士

社会保険労務士は厚生労働省所管の国家資格であり、労働・社会保険に関する専門家です。社会保険に関する書類作成や申請代行、就業規則や雇用契約書の作成、労務管理に関するコンサルティング、助成金の申請などを行います。社会保険労務士は、従業員が健全に働ける労働環境を構築あるいは維持するために、企業の人事労務管理をサポートするのが役割です。

社会保険労務士になるためには、社会保険労務士試験に合格し、社会保険労務士名簿に登録、登録要件を経て社会保険労務士会に入会する必要があります。社会保険労務士試験には受験資格があり、「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の3つに分けられ、この中のいずれか1つを満たしている必要があります。

社会保険労務士が胸につけるバッジには、外側に「16枚の花弁菊」、中央に「SR」のローマ字がデザインされています。「SR」は「Syakaihoken Roumushi」の頭文字からきています。

※バッジのデザインは下記URLにあるロゴマークをご覧ください。

海事代理士

海事代理士は国土交通省所管の国家資格であり、船舶関連の専門家です。船舶の登記や測度、検査、船員の労働条件、船舶運航事業などに関する申請や届出などの手続きの代行や関連書類の作成を行います。海事代理士は、業界の発展や安全な運航を支える重要な役割を果たしています。

海事代理士になるには、海事代理士試験に合格し、地方運輸局に登録する必要があります。海事代理士試験には受験資格はなく、誰でも受験が可能です。

海事代理士が胸につけるバッジには、菊の花に船の操舵輪がデザインされています。15からなる菊花弁は法律を、舵輪は海事を、舵輪を包む円は調和を、円内の黒色は公正中立を示す(何色にも染まらない)といわれています。

※バッジのデザインは下記URLにあるロゴマークをご覧ください。

10士業とは?その種類と仕事内容

士業には、8士業以外に10士業と呼ばれるものがあります。
10士業とは、上記の8士業のうち、海事代理士を除いた7つの士業に下記3つを加えた10の士業のことです。

・公認会計士
・中小企業診断士
・不動産鑑定士

ここからは、この3つの士業の仕事内容についてご紹介します。

公認会計士

公認会計士は金融庁所管の国家資格であり、会計監査の専門家です。独立した第三者の立場で企業の財務諸表や会計書類などのチェックを行います。信頼性を確保することで、会社等の事業活動、投資者などの利害関係者の保護等を図り、国民経済の健全な発展に寄与することを使命とされています。

公認会計士になるためには、公認会計士試験に合格し、その後2年以上の業務補助等を経て、修了考査に合格した後、公認会計士名簿に登録する必要があります。公認会計士試験には受験資格がなく誰でも受験することが可能です。

公認会計士が胸につけるバッジには、基本図形の正方形の集合を楕円で切り取ったものがデザインされています。「安定感」を持つ正方形の連続により経済社会の安定を守る公認会計士の連帯を表し、正方形が構成する楕円は「グローバルなイメージ」を感じさせ、世界経済を守る公認会計士の誇りを表しています。

※バッジのデザインは下記URLをご覧ください。

中小企業診断士

中小企業診断士は経済産業省所管の国家資格であり、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。企業の成長戦略について専門知識に基づいたアドバイスを行ったり、経営計画立案に際し企業と行政、金融機関との連携を促進する等を行います。中小企業診断士は、その保有する高度な能力を生かして、経営の診断、経営に関する助言を行い、中小企業等の創意工夫や自助努力を助長し活性化させていくことが役割です。

中小企業診断士になるためには、中小企業診断士試験に合格し、実務経験を積むか登録養成機関が行う養成課程を修了する必要があります。中小企業診断士試験には受験資格はなく誰でも受験することが可能です。

中小企業診断士が胸につけるバッジには、金色の羅針盤がデザインされています。羅針盤は中小企業の輝かしい未来を指し示す「中小企業診断士の使命」を表現し、また主に直線で構成された図柄は、「ぶれのない誠意」を表しています。

※バッジのデザインは下記URLをご覧ください。

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、国土交通省所管の国家資格であり、不動産を評価する専門家です。土地や建物などの不動産について、建設コスト・市場価格・収益性などの様々な面から価値を鑑定・評価して不動産鑑定評価書を作成したり、土地の有効な使い方についてコンサルティングを行います。不動産鑑定士が行った評価は、国や地方自治体が発表する公的価格の指針になったり、銀行が融資を行う際の担保評価に用いられたりと、社会や経済に対する大きな影響力を有します。

不動産鑑定士になるためには、不動産鑑定士試験に合格し、その後一定の業務補助等を経て、修了考査に合格した後、不動産鑑定士名簿に登録する必要があります。不動産鑑定士試験には受験資格がなく誰でも受験することが可能です。

不動産鑑定士が胸につけるバッジには、5つの輪の中に「JAREA」の文字がデザインされています。「JAREA」は『Japanese Association of Real Estate Appraisal』の略字です。

※バッジのデザインは下記URLのロゴマークををご覧ください。

まとめ

今回は、8士業・10士業の一覧と仕事内容についてまとめてみました。皆さんは、様々な士業が存在することをご存知でしたでしょうか?

士業とは、法律に基づいた専門資格の取得が必要な職業の総称であり、名前の末尾に「〇〇士」が付くのが特徴です。「士」は「侍(さむらい)」という意味を持つことから、「サムライ業」とも呼ばれます。また、士業は「8士業」「10士業」に分類され、このうち戸籍謄本や住民票などの公的書類を職務上請求できる権限が付与されているのが8士業です。士業の業務には、特定の知識や技術を有すると認められた有資格者しか行えない"独占業務”があります。

異なる専門性を持つ士業同士が連携を取り合うことで、お客様のお困りごとをスムーズに解決へと導くことができます。北斗司法書士事務所では、他士業との連携体制も整っておりますので、何かお困りごとがありましたらお気軽にご連絡ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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