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法律系の国家資格!司法書士になるには?【司法書士試験】

スタッフブログ

2024.03.08

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こんにちは。北斗司法書士事務所の新人スタッフMです。
司法書士は、私たちの普段の生活で起こる法律に関する悩みやトラブルについて気軽に相談できる存在です。そんな全国で活躍する司法書士には、どのようにしたらなれるのでしょうか?今回は、司法書士試験の概要と司法書士登録までの流れをわかりやすく解説していきます。

司法書士になるには?

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司法書士は、司法書士法に基づいて与えられる法律系の国家資格の1つです。
日本司法書士会連合会によると、2023年4月1日現在の全国会員数は23,059人で、
男性18,674人(81%)、女性4,385人(19%)が司法書士として活躍しています。

司法書士になるためには、次の2パターンがあります。
①法務省が実施する司法書士試験を受けて合格する
②裁判所事務官や検察事務官を10年以上勤め、法務大臣からの認可を受ける

②は主に、裁判所事務官などを定年退職した経験者が利用する制度となっています。
司法書士になるには、司法書士試験に合格することが一般的と言えるでしょう。
ここでは、司法書士試験の概要と司法書士登録までの流れをみていきたいと思います。

会員数他データ集(日本司法書士会連合会)

司法書士試験の概要

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司法書士になるためには、法務省が実施する司法書士試験を受けて合格する必要があります。
司法書士試験は年1回実施され、筆記試験(7月)と口述試験(10月)の2段階選抜形式で行われます。
筆記試験に合格した人だけが口述試験に進むことができ、口述試験を突破すると最終合格となります。

受験資格、試験スケジュール、受験会場、受験料について

◆受験資格
司法書士試験に必要な受験資格は特にありません。
年齢・性別・学歴・国籍などに関係なく誰でも受験が可能です。
また、受験回数の制限が一切なく、誰でも何度でもチャレンジすることができます。


◆試験スケジュール
司法書士試験における受験申込から合格までのスケジュールは、以下の通りです。

受験案内、願書配布…例年4月上旬~5月中旬
願書受付期間   …例年5月上旬~中旬
筆記試験     …例年7月の第1週目の日曜日
基準点発表日   …例年8月中旬
筆記試験合格発表 …例年9月下旬~10月上旬
口述試験     …例年10月中旬
最終合格発表   …例年11月上旬


◆受験会場
司法書士試験の受験会場は、筆記試験では全国15か所、口述試験では全国8か所の法務局または地方法務局の管轄区域内の会場となります。47都道府県すべてに受験会場があるわけではなく、他県での受験となる場合があります。

2023年度の受験会場
筆記試験…15か所(東京、横浜、さいたま、千葉、静岡、大阪、京都、神戸、名古屋、広島、福岡、那覇、仙台、札幌、高松)
口述試験…8か所(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松)


◆受験料
司法書士試験の受験料は8,000円です。
収入印紙を受験申請書の所定の欄に貼り付けて納付します。

司法書士試験【筆記試験】とは

筆記試験は午前の部と午後の部に分かれ、以下の形式で実施される予定です。

◆午前の部:9時半から11時半までの2時間

マークシートによる多肢択一式35問(各3点で計105点)
・憲法(3問)
・民法(20問)
・刑法(3問)
・商法、会社法(9問)


◆午後の部:13時から16時までの3時間

マークシートによる多肢択一式35問(各3点で計105点)
・民事訴訟法(5問)
・民事執行法(1問)
・民事保全法(1問)
・司法書士法(1問)
・供託法(3問)
・不動産登記法(16問)
・商業登記法(8問)
   +
記述式2問(各70点で計140点)
・不動産登記法(1問)
・商業登記法(1問)


午前の部はすべて択一式問題で、憲法、民法、商法などに関する基礎的な法律知識について出題されます。午後の部は択一式問題に加えて記述式問題もあり、不動産登記法や商業登記法など専門的な内容について出題されます。その中でも記述式では、問題文と添付された契約書や登記事項証明書などを読み解き、ほぼ白紙の解答用紙に登記申請書を作成する必要があります。

司法書士試験の配点は、午前の部は各3点で計105点、午後の部は択一式問題が各3点で計105点、記述式問題は各70点で計140点、午前と午後の総合計点は350点と予想されます。

試験後に午前・午後の合格基準点と総合点の合格基準点が発表され、試験に合格するには、多肢択一式(午前・午後)と記述式の3つすべてで基準点を満たし、そのすべてを超える成績上位者に入る必要があります。どれか1つでも基準点に達しなければ、その時点で不合格となります。


※令和6年度から、筆記試験における記述式問題が2問で計140点の配点へと変更されました。


司法書士試験【口述試験】とは

口述試験は、筆記試験合格者のみを対象に実施され、司法書士として必要な資質と能力が試される最終試験です。
試験時間は約15分間で、受験生1人に対し面接官2人がつき、受験生に質問する形で実施します。

主な出題内容は、以下の3科目です。
・不動産登記法
・商業登記法
・司法書士法

口述試験にも合格すると、正式に司法書士試験に合格したことになります。

司法書士試験の難易度は?

司法書士試験の難易度は非常に高く、合格率は例年3~5%台となっており、国家資格の中でも超難関資格と言われています。令和5年度の出願者数は16,133人、受験者数は13,372人、そのうちの合格者数は695人で、合格率は5.2%でした。

司法書士試験が難しい理由としては、科目別の合格制度がなく「一発勝負」であること、さらに試験が絶対評価ではなく「相対評価」であることと、各科目で基準点による「足切り」があることなどが、挙げられます。

いわゆる既定の点数を取った人が合格できる絶対評価とは異なり、相対評価の場合は、その年の受験生の成績に応じて基準点・合格点が変動します。司法書士試験では、あらかじめ合格者数が決められているため、合格点はその人数に合わせて上下することになります。

また、試験科目は11科目で範囲が広く、合格基準とされる「上位5%以内」に入るためには、各科目について確実に知識を深めていかなくてはなりません。

一般的に、司法書士試験合格までにかかる勉強時間は3,000時間程度と言われています。勉強期間1年で合格を目指すなら1日8時間以上の勉強が必要であり、勉強期間3年で合格を目指す場合でも1日3時間弱の勉強が必要となります。ただし、過去の経験や勉強効率の違いなどによって個人差があるので、2,000時間程度の勉強時間で合格する人もいます。

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【参考】令和5年度司法書士試験の最終結果について

試験日:筆記試験(令和5年7月2日)、口述試験(令和5年10月23日)
出願者数:16,133人
受験者数:13,372人(午前の部及び午後の部の双方を受験した者の数をいう。)
合格者数:695人(男487人・70.1% / 女208人・29.9%)

筆記試験合格点:満点280点中211.0点以上
※午前の部の試験(多肢択一式問題)については満点105点中78点に、午後の部の試験のうち、多肢択一式問題については満点105点中75点に、記述式問題については満点70点中30.5点に、それぞれ達しない場合は、それだけで不合格とされました

合格者
平均年齢:41.14歳、最低年齢:19歳 、最高年齢:82歳


試験合格から司法書士登録までの流れ

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司法書士試験に合格しただけでは、司法書士として働くことはできません。
試験合格後は、司法書士会等が主催する「新人研修」を受講した上で、司法書士名簿に登録する必要があります。


一般的に、試験合格~司法書士登録までの流れは以下の通りです。

・最終合格発表 【11月上旬】
・合格証書の交付 【11月】
・中央新人研修 【12月~】
・ブロック新人研修 【12月~】
・司法書士会新人研修(配属研修) 【12月~】
・特別研修 通称「100時間研修」【5月~】
・簡裁訴訟代理等能力認定考査 【例年9月上旬の日曜日】
・認定考査合格発表 【12月上旬】
・司法書士会登録、入会


新人研修は、「中央新人研修」「ブロック新人研修」「司法書士会新人研修(配属研修)」の3つの研修で構成されており、例年12月~翌年3月に渡って開催されます。また、新人研修とは別に、簡易裁判所の訴訟代理業務をする資格(認定司法書士)を得るための「特別研修」があります。
新人研修を終了した後、司法書士として業務を行うためには、所属する司法書士会を経由して、日本司法書士会連合会に備える司法書士名簿に登録する必要があります。登録が完了したら晴れて「司法書士」として業務を行うことができます。

中央新人研修

中央新人研修は、試験合格後、最初に受ける司法書士の研修です。司法書士制度の歴史や司法書士の主要業務や活動の成り立ち、それを行う上で必ず身に付けておくべきマインドや職責・職業倫理などを学びます。

自宅や事務所等のパソコンやモバイル端末から受講できるインターネット配信による「eラーニング研修」で実施されます。講義動画を視聴した後、確認問題を解いて正解することで受講完了となります。

ブロック新人研修

ブロック新人研修は、全国8つのブロック(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)に分かれて実施される研修です。実務の現場において必要とされる知識など、開業に必要な知識や心構えなどを学びます。

実施方法や日程はブロックによって異なりますが、約1週間程度行われ、受講するブロックによっては集合形式の他にWeb形式も併用するケースもあります。

司法書士会新人研修(配属研修)

司法書士会新人研修(配属研修)は、全国各地の司法書士会で行います。配属先の事務所にて、実際に書類を作成したり、司法書士と共に登記所や市役所等を訪問したりと実務を学びます。実際に現役で働く司法書士の業務を見ることができます。

実施方法や日程は各司法書士会によって異なりますが、約1~3カ月程度行われます。

特別研修 通称「100時間研修」

特別研修は、簡裁訴訟代理等能力認定考査の受験資格を満たすための必要な研修です。認定考査を受験しない場合は、受講は必須ではありません。認定考査に合格すると、140万円以下の民事訴訟案件に対応できる「認定司法書士」として活躍の場を広げられます。認定司法書士は、簡易裁判所で弁護士と同じように訴訟代理人になることができます。

特別研修では、座学での講義や演習、訴状や答弁書の作成のほかに、模擬裁判を行ったり、実際の裁判を傍聴するなど、より実践的な内容となっています。

※全司法書士のうち、約8割が認定司法書士となっています。

司法書士会登録、入会

新人研修を受講し終えると、各都道府県の「司法書士会」への入会と、司法書士会の上部組織である「日本司法書士会連合会」に登録手続きを行う必要があります。

司法書士会は、会員である司法書士に適切な指導を行ったり、会員のための事務を行ったりする組織です。司法書士は必ず司法書士会に所属しなければなりません。入会・登録が済むまでは、試験に合格しても司法書士と名乗ることはできません。

まとめ

今回は、司法書士試験の概要と司法書士登録までの流れについてまとめてみました。司法書士になるためにはどんな方法があるのか、お分かりいただけたでしょうか?

司法書士になるには、年1回の筆記試験と口述試験を突破した後、新人研修を受けて司法書士会に登録する必要があります。筆記試験に合格するには、多肢択一式35問の午前の部と、多肢択一式35問+記述式2問の午後の部、この3つすべての基準点を満たし、そのすべてを超える成績上位者に入ることが条件です。その年の受験生の成績に応じて基準点と合格点が変動する相対評価が採用されているため、例年の合格率は約3~5%となっており、超難関の国家資格とも言われています。試験合格後も様々な新人研修で実務を学び、司法書士会に登録をした上で、晴れて司法書士として働くことができます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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