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そもそも「相続」ってどういうこと?

スタッフブログ

2024.04.05

こんにちは。北斗司法書士事務所の新人スタッフMです。
皆さんにとって「相続」という言葉は身近でしょうか?今は身近に感じない方でも、誰しもが人生で一度や二度、経験することになると思います。しかし、そもそも「相続」とはどういうことなんでしょうか?今回は、相続の定義や語源、相続制度の歴史、相続の大切さなどについてわかりやすく解説していきます。

そもそも「相続」ってどういうこと?

誰しもが人生で一度や二度、経験することになるであろう「相続」。
よく耳にする言葉だと思いますが、実際にはどういうことを意味するのかご存知の方は少ないのではないでしょうか。

ここからは相続の定義についてまとめていきたいと思います。

相続の定義とは?

相続とは、亡くなった人の財産などの権利・義務を、残された家族などが引き継ぐことをいいます。相続では、亡くなった人を「被相続人」、財産などを引き継ぐ人を「相続人」といいます。人が死亡した場合に、誰が相続人となり、何が遺産に当たり、亡くなった人の権利義務がどのように承継されるかなど、相続の基本的なルールは民法において定められていて、この部分は相続法とも呼ばれています。

民法882条の相続の開始について、「相続は死亡によって開始する」と定めてあります。つまり被相続人が死亡した時点で相続は開始します。

相続という言葉の語源は?

相続という言葉は、もともと仏教用語で「因果が連続して絶えないこと」を意味するそうです。

仏教では、「この世界のあらゆる物事は、諸行無常で姿かたちを変えていくが、決して絶えることは無く、永遠に連続する」というのが根本的な考え方としてあります。それはローソクの火に例えられ、ローソクの火は一瞬で燃え尽きては消え、その直後に別の火が燃えてを刹那(非常に短い時間)に繰り返しています。燃えて消えてが絶え間なく連続するから一つの火として燃えているように見えているわけです。

「相」という字には「姿」という意味があります。 つまり、「姿=存在そのもの」が続いていくことは、非連続の連続ということを意味します。その仏教用語が現代では、引き続き起こること、受け継ぐことの意味となって、一般にも用いられるようになったと言われています。

「大相続時代」を迎える日本

厚生労働省の人口動態統計によると、令和4年の死亡数は156万8961人で、統計を取り始めて以降、過去最多となっています。また、国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、1年間に死亡する人の数は今後も増え続け、2040年には約167万人のピークを迎える見込みです。

戦後直後の第一次ベビーブーム時に生まれた「団塊の世代」は、2025年にはすべて75歳以上になり、超高齢化社会に突入します。人が亡くなると必ず発生するのが相続です。日本ではこれから約20年にわたり、毎年150万件近い相続が発生し、「大相続時代」を迎えることになります。

日本の相続制度はどう変化した?

相続の仕組みは長い歴史の中で作られ、時代や社会的背景によって変遷してきました。前の世代から引き継いだ大切な財産は、形を変えて現代の私たちへと引き継がれています。

それでは、日本の相続制度はどのようにして変化してきたのでしょうか?
相続制度の歴史についてみてみましょう。

中世(鎌倉時代~戦国時代)

中世の財産の中心は所領(土地)。主に武家の一族の中でもっとも能力のある「惣領」が大部分を1人で相続し、残った財産を惣領以外で分割相続しました。しかし、分割による土地の細分化が難しくなり、その後は1人の相続人がすべてを相続する単独相続が行われるようになっていきました。財産を巡る争いなどで世は乱れ、弱肉強食の戦国時代を迎えます。

近世・近代(江戸時代~戦前)

戦国時代の相続争いの原因は、たくさんの子の中から1人だけに相続させようとしたからでした。そこで、きょうだいで争うことのないように、嫡子(ちゃくし。家を継ぐ人。多くは長男)単独による家督相続の制度が制定され、江戸幕府による諸大名のコントロールにも利用されました。明治には法定化され、家長である男性が財産や家族を統率する家父長的家制度の価値観が強固になっていきました。

現代(戦後~現代)

昭和に入っても明治時代からの「嫡子による家督相続」は続きましたが、太平洋戦争での敗戦後、男女平等を基礎とする日本国憲法が制定され、相続制度もがらりと変わりました。長男が全財産を相続する家督相続は廃止され、隠居制度(戸主が生存中に家督を譲ること)がなくなり、死亡による遺産相続が基本となりました。また、配偶者の相続権が強くなり、長男の単独相続から兄弟姉妹に均等に分配される制度へと変わっていきました。

財産を引き継ぐのは何のため?

先祖から引き継いだ財産や、自分が蓄積した財産を他社に引き継ぐことができるのが相続です。
何のためにこのようなシステムが存在するのでしょうか?

相続の目的として、以下のことが挙げられます。

・人が財産を保有する権利を守るため
・財産を巡る争いを避け、社会の安定を守るため
・故人によって養われていた人の生活を守るため
・故人の配偶者など、蓄財に貢献した人の権利を保障するため

このように相続を行うことで、亡くなった方の財産を守ったり、相続人の生活を保障することができます。
残される家族のためにも、事前に計画を立てて相続を行うことが大切です。

まとめ

今回は、相続の定義とその歴史についてまとめてみました。そもそも相続がどういうものかをお分かりいただけたでしょうか?

相続とは、亡くなった人の財産などの権利・義務を、残された家族などが引き継ぐことをいいます。日本はこれから超高齢化社会に突入し、これから約20年にわたり、毎年150万件近い相続が発生し、「大相続時代」を迎えることになります。残される家族のためにも、事前に計画を立てて相続を行うことが大切です。相続の仕組みは長い歴史の中で作られ、分割相続や単独相続、家督相続など、相続の形態は時代や社会的背景によって変遷してきました。前の世代から引き継いだ大切な財産は、形を変えて現代の私たちへと引き継がれています。

今後も、相続の基礎知識シリーズを投稿していきたいと思います!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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