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身近な街の法律家!司法書士ってどんな仕事?

スタッフブログ

2024.03.01

こんにちは。北斗司法書士事務所の新人スタッフMです。
皆さんは、司法書士がどんな職業かご存知ですか?司法書士は、弁護士や税理士などに比べ、まだまだ認知度が低い職業だと思われます。しかし、そんな司法書士は“身近な街の法律家”と言われており、私たちの普段の暮らしで生じる法律に関する悩みやトラブルについて困ったときに相談できる存在です。今回の投稿では、司法書士の仕事内容やその歴史などを分かりやすく解説していきます。

司法書士ってどんな仕事?その仕事内容

司法書士の仕事
司法書士は、人々の財産と権利を守り、トラブルの法的解決を専門とする”身近な街の法律家”です。個人や法人などから依頼を受けて、裁判所・検察局・法務局等に提出する書類作成や法律上の手続きを代行するのが仕事です。

「法律に関わる機会なんてないだろうし、私には関係ない話だ」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、マイホームを購入した時や親の遺産を相続した時など、誰にでも起こり得るライフイベントにおいて法律上の手続きは発生します。そのような手続きを全て自分で行う場合、専門的な法律知識が必要となり、想像以上の時間と労力を要する可能性があります。また、手続き上でミスをしてしまうと、財産や権利が奪われてしまうという事態になりかねません。そういったトラブルを未然に防ぐためにも、法律の専門家である司法書士に任せるのが安心です。

それでは、具体的に司法書士の仕事にはどんなものがあるのでしょうか?
主な業務は以下の通りです。

・不動産登記
・商業登記
・相続
・成年後見
・債務整理

この中でも不動産登記と商業登記は、司法書士資格を持つ人だけができる独占業務であり、司法書士は「登記のスペシャリスト」とも呼ばれます。

不動産登記

不動産登記とは、土地や建物の場所や広さ、所有者の名前、抵当権などの権利設定の有無などの情報を登記簿に記録し、一般に公示する制度です。土地や建物を購入しても登記をしなければ、本当の意味でその所有者になれるわけではありません。誰から見ても所有者であると認められるためには、法務局で不動産登記を行うことが必要です。

不動産登記には、「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の2つがあります。表示に関する登記とは、その不動産の場所や広さ、宅地などの種別に関する登記のことで、土地家屋調査士が代理で行うことができます。権利に関する登記とは、その不動産の所有者や抵当権などの担保の有無を記録するもので、司法書士が代理で行うことができるものとされています。

司法書士が取り扱う「権利に関する登記」は、「所有権に関する登記(甲区)」と「所有権以外の権利に関する登記(乙区)」で構成されています。
所有権に関する登記(甲区)には、所有者の住所、氏名、登記の目的、取得年月日、取得原因(売買、贈与、相続)など、その不動産の所有者の情報が記録され、その不動産の過去から現在までの所有者が分かります。
所有権以外の権利に関する登記 (乙区)には、抵当権、賃借権、地上権などの所有権以外の権利に関する情報が記録され、その不動産について誰がどのような権利を持っているのかが分かります。

商業登記

商業登記とは、商号(社名)や役員情報、資本金額など、会社にとって重要な情報を登記簿に記録し、一般に公示する制度です。法人は、必ず一定の内容を登記しなければならず、登記していない限り、その法人の存在は認められません。認められるためには、法務局で商業登記を行うことが必要です。

商業登記は、会社設立時の他にも、会社の重要情報が変更になった場合にも登記を行わなければなりません。また、増資、合併、会社分割などの組織編成をするといった、会社を大きく発展させるような場合にも、商業登記は重要な役目を果たします。

相続

相続とは、身内が亡くなった際に所有していた財産(不動産、預貯金など)を引き継ぐことです。故人が所有していた財産について、誰がどの財産を相続するかを決めて、相続人の名義に変更することが必要です。

司法書士は、相続による不動産の名義変更手続きやそれに伴う戸籍の収集、相続関係説明図の作成、誰がどの遺産を相続するのかの話し合いの結果をまとめた遺産分割協議書の作成などを行います。
また、財産に借金が多いなどの理由で相続を放棄したい場合の相続放棄手続きに関する書面の作成や、これから遺言書を作成したい方への遺言作成に関する相談なども行います。

成年後見

成年後見とは、認知症、知的障害、精神障害などが理由で判断能力が低下した方の財産を管理し、不当な契約などから守ることができる法的制度です。

この制度は「法定後見制度」と「任意後見制度」の大きく二つに分けられます。法定後見制度とは、既に判断能力が不十分な状態にある方への制度であり、家庭裁判所が本人の判断能力の状態に合わせて、後見人・保佐人・補助人のいずれかを選任します。任意後見制度とは、自らの判断能力低下に備えて、あらかじめ公正証書による契約によって、後見人候補者を選定したり支援内容を決めておける制度です。

最高裁判所のデータによると、成年後見人になった人のうち、親族が占める割合は約20%にとどまり、残りの約80%は親族以外が成年後見人に選任されています。 親族以外の内訳は、弁護士が約27%、司法書士が約37%、社会福祉士が約18%などとなっています。

債務整理

債務整理とは、法律に従って借金の返済義務を減免できる手続きです。多額の借金を抱えてしまい、返済できなくなったとしても、債務整理で解決することができます。債務整理には主に任意整理・個人再生・自己破産という3つの方法があります。

任意整理…裁判所を通さずに銀行や消費者金融などの借入先(債権者)と直接交渉することで、今後の原則利息カットをはじめとした借金返済の負担軽減を図る手続き

個人再生…裁判所に申し立てて新しい返済計画(再生計画)を認めてもらい、借金を大幅に減額することができる手続き

自己破産…借金の支払いが不可能であることを裁判所に申し立てて、借金を返済しなくてもよい(免責)という決定をもらう手続き

債務整理を取り扱うことができるのは、簡易訴訟代理等能力認定考査に合格した「認定司法書士」に限られます。認定司法書士は、訴額が140万円以下の場合に限り任意整理の代理人と個人再生・自己破産の書類作成の代理を行い、お客様の借金問題を解決へと導きます。

※北斗司法書士事務所には、認定司法書士がおりますので債務整理にも対応できます

司法書士の1日のスケジュール

1日のスケジュール
ここまで、司法書士の仕事内容についてご紹介してきました。仕事内容は大体分かったけど、実際どんな感じで働いてるの?と思われる方もいるでしょう。ずっとパソコンの前に座って書類作成していると思われがちな司法書士ですが、意外と外に出ていることが多い職業です。司法書士の働き方のイメージをお伝えするために、当事務所 代表である永田司法書士の1日のスケジュールを参考にみてみましょう。

◆司法書士 1日のスケジュール(参考)
9:00   出社、メールチェック、外出準備
10:00 決済業務
11:00 銀行にて着金確認と抹消書類の受取
12:00 事務所にて申請
13:00 昼ごはん
14:00 法務局へ書類提出
15:00 面談
16:00 調べ物
17:00 書類作成
18:00 退社

このように、司法書士は手続きを行うためのデスクワークも多いですが、外出の頻度も多い職業です。銀行や法務局まで資料を直接持っていく必要があったり、お客様へのヒアリングを行ったりと、事務所への出入りを頻繁に行います。当事務所へご連絡いただけましたらお客様の元へお伺いいたしますので、お気軽にご相談ください。

司法書士の歴史 起源は“代書人”

そもそも司法書士はいつ頃からある職業なのでしょうか。実は、日本の司法書士制度の歴史は古く、2022年(令和4年)で150周年を迎えました。時代の変化に合わせて業務の幅も大きく広がり、今日に至ります。それでは、どのようにして現在の司法書士へと発展してきたのでしょうか?その歴史をたどってみましょう。

1872年(明治5年)
日本で最初の裁判所構成法ともいうべき全22章108条からなる「司法職務定制」が制定されました。この中の第10章には「証書人・代書人・代言人職制」という法制度を支える3つの基本的な職能が定められました。特に代書人・代言人は裁判権の円滑な行使に不可欠な存在として位置づけられ、証書人は現在の公証人、代書人は現在の司法書士、代言人は現在の弁護士であると言われています。この時の代書人は、裁判所に提出する訴状の作成が主な仕事でした。

1886年(明治19年)
明治政府にとって収税目的からも重要な法律である「登記法」が制定されました。これにより、不動産登記制度が創設されましたが、当時は法律上登記の担い手が不明確でした。しかし、原則として登記事務は治安裁判所で扱われることになっていたことから、当時の代書人が裁判所に提出する訴状の作成業務に加え、登記申請書の代書及び申請手続きの代理業務も行うことになりました。

1919年(大正8年)
司法代書人法が公布され、ここで「代書人」から「司法代書人」へ名称変更。単一の職業法として成文化されることになりました。

1935年(昭和10年)
司法書士法が公布され、「司法代書人」から、現在の「司法書士」となりました。

1947年(昭和22年)
戦後の司法制度改革により、法務庁(後の法務省)が設置されました。そして、登記は法務庁の所管とされ、登記事務は司法事務局(後の法務局)及びその出張所が取扱うことになりました。これにより、登記事務の管轄が裁判所から行政官庁に移りました。

1956年(昭和31年)
司法書士法改正によって、司法書士会と日本司法書士会連合会の設置が義務になり、司法書士は司法書士会に入会することが義務となりました。この規定により、司法書士会に入会していない司法書士は司法書士業務ができなくなりました。また、単なる『認可』から『選考による認可』と改め、司法書士選考試験の導入が始まりました。

1978年(昭和53年)
司法書士法改正によって、司法書士の職責規定が新設されました。その結果、法律家としての司法書士の地位が確立したとされ、司法書士試験が選考認可制度から現在の国家試験制制度に転換されました。

2002年(平成14年)
司法書士法改正によって、法務大臣に認定を受けた司法書士は簡易裁判所における事物管轄を範囲内とする民事訴訟、 調停、即決和解等の代理、法律相談、裁判外和解の代理を行うことができる規定が新設されました。この司法書士法の改正で、全条文28条だったものが82条に増え大幅な改正となりました。

従来、司法書士の業務は登記業務を主として、裁判所への提出書類作成などの業務が中心でしたが、現在は簡易裁判所における裁判業務など業務の幅が大きく広がりました。このように、司法書士制度は時代背景や社会情勢によって形を変えながら、「身近な街の法律家」として社会の中で活躍しています。

まとめ

今回は、司法書士の仕事内容と1日のスケジュール、司法書士の歴史についてまとめてみました。少しは司法書士の働き方のイメージをお伝えできたでしょうか?

司法書士は、一般の人では難しい法律上の手続きを代理し、人々の財産と権利を守る仕事です。約150年の歴史がある司法書士の業務は、裁判所の書類作成業務から始まり、今では不動産登記をはじめとする登記業務、成年後見、簡易裁判所における裁判業務にまで幅を広げ、身近な街の法律家として市民に寄り添いサポートを行っています。北斗司法書士事務所では、さまざまな専門家とも連携しておりますので、法律に関するお悩みがありましたら、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

次回の投稿は、そもそも司法書士になるにはどうしたら良いのか?についてまとめていきます!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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