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抵当権抹消登記とは?住宅ローン完済後の流れ・必要書類・費用を解説

スタッフブログ

2026.07.31

こんにちは。北斗司法書士事務所のスタッフmです。

住宅ローンを完済された方、本当にお疲れさまでした。
長年の返済が終わり、ほっと一息ついている方も多いのではないでしょうか。
しかし、実はここで一つ、見落とされがちな手続きがあります。それが「抵当権抹消登記」です。

「ローンを完済したのだから、もう抵当権は関係ないのでは?」と思われるかもしれません。
ですが、完済しただけでは登記簿の記載は自動的には消えません。
この記事では、抵当権抹消登記とは何か、放置するとどんなリスクがあるのか、そして完済後にどのような流れで手続きを進めればよいのかを、分かりやすく解説します。

抵当権抹消登記とは何か

抵当権とはそもそも何か

住宅ローンを組む際、多くの方は自宅の土地・建物に「抵当権」という担保権を設定しています。これは、万が一ローンの返済が滞った場合に、金融機関がその不動産を売却するなどして貸したお金を回収できるようにするための権利です。

この抵当権は、住宅ローンの契約と同時に、金融機関の依頼を受けた司法書士が法務局へ「抵当権設定登記」を申請することで、登記簿に記録されます。つまり、契約時にすでに一度、登記の手続きを経ているということです。この結果、登記簿には「この不動産には〇〇銀行の抵当権が設定されています」という内容が記載されます。

完済しても登記簿上は「抵当権あり」のまま

ここが誤解されやすいポイントです。住宅ローンを完済すると、抵当権という権利そのものは法律上消滅します。しかし、登記簿の記載は自動的には消えません。

つまり、完済した後も、登記簿を見る限りでは「まだ抵当権が設定されている不動産」に見えてしまうのです。この登記簿上の記載を実際に消すために必要なのが「抵当権抹消登記」という手続きです。

なぜ抹消登記が必要なのか

抵当権抹消登記をしないままにしておくと、不動産を売却したり、新たにローンを組んだりする際に、抵当権が残っていることが原因で手続きが滞ってしまう可能性があります。

次の章で、具体的にどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。

抹消登記をしないとどうなるか(リスク)

リスク①:不動産を「動かす」ときに困る(売却・追加融資)

将来、自宅を売却しようとした際、買主側は抵当権が残っていない状態(担保のない状態)で不動産を引き渡してもらうことを前提に契約します。抵当権が残ったままだと、決済の直前になって慌てて抹消登記の手続きをすることになり、書類の手配等で売買のスケジュールに支障が出かねません。

また、リフォームローンや事業資金など、自宅を担保に新たな融資を受けたい場合も、既存の抵当権が残っていると新しい担保を設定できないことがあります。

リスク②:相続が発生すると手続きが一気に複雑化する

抵当権抹消登記をしないまま、不動産の所有者が亡くなってしまうケースは少なくありません。この場合、相続登記に加えて抵当権抹消登記も必要になり、通常よりも手続きが複雑になります。

また、完済時に金融機関から交付された抵当権解除証書や登記識別情報(権利証)が見つからず、遺品の中から探すことになるケースも多くあります。書類が見つからない場合は、再発行や代替手続きが必要になり、さらに時間や手間がかかってしまいます。

リスク③:時間が経つほど書類集めが困難になる

時間が経過すると、金融機関から発行された抵当権解除証書や登記識別情報(権利証)などの書類を紛失してしまう可能性があります。

また、借入先の金融機関が合併や商号変更をしているケースも増えており、登記上の抵当権者と現在の金融機関名が一致しない場合があります。その場合、変更の経緯を確認するための書類の取得が必要となり、手続きに時間がかかることがあります。

抵当権抹消登記における必要書類

抵当権者(金融機関)から交付される書類

・登記識別情報または登記済証

抵当権設定時に金融機関に発行された、いわゆる「権利証」。
平成18年以前は登記済証(抵当権設定契約書に登記済の押印がされたもの)、それ以降は登記識別情報通知。

・登記原因証明情報(解除証書や弁済証書など)

住宅ローンを完済したことを証明する書類。金融機関によって名称が異なる場合がある。

・代理権限証明情報(委任状)

金融機関が借主に対して抹消登記の手続きを委任するための書類。

金融機関から届いた書類一式は、紛失しないよう、封筒のまま保管しておきましょう。

不動産所有者が準備する書類

・登記申請書

ご自分で作成、または司法書士が作成。

・登記簿上の住所・氏名と現在の情報が異なる場合は、その変更を証明する書類(住民票の写しなど)

異なる場合は、抹消登記の前に「登記名義人住所(氏名)変更登記」が必要。

・登記事項証明書(登記簿謄本)

現在の登記情報を確認するために取得が必要。

住宅ローン完済後の流れ

STEP1:金融機関から書類が届く

完済後、金融機関から抵当権解除に必要な書類一式が郵送で届きます。届くタイミングは金融機関によって差がありますが、完済直後から数週間後が目安です。届いたら、前章で紹介した必要書類が揃っているか確認しましょう。不足があれば、早めに金融機関に問い合わせることをおすすめします。

STEP2:登記簿の情報と現在の状況が一致しているか確認する

見落とされがちですが、非常に重要なステップです。
取得した登記事項証明書(登記簿謄本)を見て、以下を確認します。

・抵当権者(金融機関)側

名称・住所・代表者が登記簿上の記載と一致しているか確認します。合併や商号変更で名称が変わっている場合、変更の経緯を証明する書類が別途必要になることがあります。

・不動産所有者側

結婚による改姓や引っ越しなどで、所有者の登記簿上の氏名・住所と現在のものが異なっていないか確認します。異なる場合は、抹消登記の前に「登記名義人住所(氏名)変更登記」が必要になります。

STEP3:登記申請書を作成する(自分で作成 or 司法書士に依頼)

金融機関から届く書類だけでは、抹消登記の申請はできません。
「登記申請書」という書類は、申請者自身(または司法書士)が別途作成する必要があります。
不動産の表示、登記の目的、登記原因(弁済など)、申請人の情報などを正確に記載する必要があり、記載内容に不備があると法務局から補正を求められることがあります。

法務局のHPにひな形がありますので、参考にしてください。

STEP4:抹消登記を申請する(自分で申請 or 司法書士に依頼)

登記申請書と必要書類一式が揃ったら、不動産の所在地を管轄する法務局に抵当権抹消登記を申請します。

申請時には、登録免許税(不動産1個につき1,000円)を納付する必要があります。申請は窓口のほか、郵送やオンラインで行うことも可能です。

書類に不備や記載漏れがあると、法務局から「補正」の連絡が入り、修正や追加書類の提出を求められることがあります。補正が完了するまで登記は完了しないため、提出前に内容を十分確認しておきましょう。

STEP5:登記完了を確認する

申請から約2~3週間程度で登記が完了します。

登記完了後は、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、抵当権が正しく抹消されているかを確認しましょう。また、法務局から返却された書類や、金融機関から受け取った書類は、手続きが完了したことを示す資料として大切に保管しておくことをおすすめします。

司法書士に依頼した場合は、登記完了後に登記完了証や返却書類一式が送付されるのが一般的です。

こんなときは司法書士へ依頼

抵当権抹消登記は、自分で法務局に申請することも可能な手続きです。
しかし、次のようなケースでは、ご自分での申請が難しい場合が多いので、司法書士に依頼されるとスムーズです。

・書類の紛失・不備がある場合

登記識別情報や抵当権解除証書を紛失している、委任状に不備があるなど

・金融機関の合併・破綻が絡む場合

借入先の金融機関が合併・商号変更・破綻していて、書類上の名義と現在の登記情報が一致しない

・抵当権が複数設定されている場合

借り換えなどを繰り返しており、古い抵当権が複数残っている

・抵当権者の名称・住所変更が絡む場合

変更登記を挟む必要があり、証明書類の準備が煩雑になる

・所有者が亡くなり相続人が手続きする場合

相続登記も同時に必要になり、遺産分割協議など別の手続きが絡む

・平日に法務局へ行く時間が取れない場合

補正のやり取りが発生すると、何度も対応が必要になることがある

これらに一つでも当てはまる場合は、無理に自分で進めようとせず、早い段階で司法書士に相談することをおすすめします。司法書士に依頼すれば、書類の収集から申請書の作成、法務局とのやり取りまで一括して任せられるため、正確かつスムーズに手続きを進めることができます。

費用の目安

登録免許税

抵当権抹消登記には、登録免許税という税金がかかります。金額は不動産1個につき1,000円です。一戸建ての場合は土地と建物をそれぞれ1個としてカウントするため、合計2,000円になるのが一般的です。土地が複数の地番にまたがっている場合は、その分だけ加算されます(なお、不動産の個数が多い場合でも上限は20,000円です)。

正確な不動産の個数は、金融機関から届く書類の「不動産の表示」欄、または登記簿を確認することで把握できます。

司法書士報酬の相場

司法書士に依頼する場合は、登録免許税に加えて司法書士報酬がかかります。相場としては、一般的な戸建て・マンション1件あたり1万5,000円〜2万円程度が目安です。住所・氏名の変更登記が必要な場合や、金融機関の合併・商号変更などにより手続きが複雑になる場合は、別途費用が加算されることがあります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 完済から何年も経っていますが、今からでも抹消登記できますか?

はい、できます。抵当権抹消登記そのものに申請期限は法律上ありません。ただし、時間が経つほど金融機関の合併・商号変更などにより書類の再取得が必要になるなど、手間が増える傾向にあります。気づいたタイミングで早めに手続きすることをおすすめします。

Q2. 借りていた金融機関が既に存在しません。どうすればいいですか?

ご安心ください。金融機関が合併や商号変更をしている場合でも、多くは抵当権抹消登記を行うことができます。

ただし、登記簿上の金融機関名と現在の名称が異なる場合は、変更の経緯を証明する書類が必要になることがあります。そのため、通常よりも手続きに時間がかかる場合があります。

また、破綻した金融機関の場合は、承継先の金融機関や管理機関を確認したうえで手続きを進める必要があります。ご不明な場合は、司法書士へご相談ください。

Q3. 抵当権解除証書や登記識別情報を紛失してしまいました。どうすればいいですか?

慌てる必要はありません。紛失した書類によって対応方法が異なりますが、多くの場合は手続きを進めることができます。

例えば、抵当権解除証書や委任状を紛失した場合は、金融機関へ再発行を依頼できることがあります。一方、金融機関の登記識別情報(権利証)は原則として再発行できませんが、事前通知制度や司法書士による本人確認情報制度など、状況に応じた代替手続きで対応できるケースがあります。

紛失に気付いたら、できるだけ早めに司法書士や金融機関へ相談することをおすすめします。

Q4. 結婚・引っ越しで住所や氏名が変わっています。追加の手続きは必要ですか?

登記簿上の住所や氏名と現在の情報が異なる場合は、原則として抵当権抹消登記の前に登記名義人住所(氏名)変更登記を行う必要があります。

住所変更であれば住民票や戸籍の附票、氏名変更であれば戸籍謄本など、変更の経緯が分かる書類を準備します。

どの書類が必要になるかは状況によって異なるため、不安な場合は司法書士へご相談ください。この変更登記にも別途、登録免許税がかかります。

Q5. 抹消登記をしないまま売却の話が進んでしまいました。今からでも間に合いますか?

多くの場合、間に合います。不動産の売却では、決済(引き渡し)のタイミングまでに抵当権抹消登記が完了していれば問題ないため、所有権移転登記と同時に手続きを進めるケースが一般的です。ただし、書類の準備状況によってはスケジュールがタイトになることもあるため、早めに司法書士へ相談することをおすすめします。

まとめ

抵当権抹消登記は、住宅ローンを完済しても自動で行われるものではありません。不動産の所有者が、自ら申請する必要があります。

手続きを放置すると、不動産の売却や借り換え、相続の際に余計な手間や時間がかかることがあります。特に、必要書類の紛失や金融機関の合併・商号変更などがあると、手続きが複雑になるケースも少なくありません。

必要書類が揃っていればご自身で手続きを行うことも可能ですが、書類に不備がある場合や住所・氏名の変更、相続が絡む場合などは、司法書士へ依頼することでスムーズに手続きを進められます。

北斗司法書士事務所では、鹿児島市を中心に全国の抵当権抹消登記のご相談・ご依頼を承っております。
「住宅ローンを完済したけれど何をすればよいかわからない」「自分で手続きできるか不安」といった方も、お気軽にご相談ください。

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